鍼施術により網膜動脈閉塞症の視力・視野に変化が見られた2症例

院長の伊藤です。

11月5日(日)に開催された第39回眼科と東洋医学研究会の一般公演にて「鍼施術により網膜動脈閉塞症の視力・視野に変化が見られた2症例」を発表しました。
発表したスライドを解説を加えて公開したいと思います。

上記にある通り、網膜動脈閉塞症は視力・視野に変性を起こす重篤な疾患です。
中心動脈で起こる網膜中心動脈閉塞症、血管の分枝部分で起きる網膜動脈分枝閉塞症に分類され、
分枝閉塞症の方が中心から外れるので、視力低下・視野欠損が軽度の場合が多いです。
中心動脈閉塞でも閉塞の状態により視野の欠損範囲が大きく変わります。
範囲が小さい方が予後良好れ例が多いです。

イメージ図右のように、中心の視野が大きく欠損してしまうため、視力が出ない例が多いです。

治療方針と配穴は上記になります。
閉塞や出血があるので、脾兪や三陰交を加えて脾の統血作用が働くようにしています。

評価方法は視力・視野・問診による見え方の変化で行いました。
右下の図は鈴木式アイチェックチャートの主表2で視野の暗点・ゆがみの検査に使用します。

症例1です。
突然右目が見えなくなり、両眼でも見にくさが出ていたので、日常生活にかなり支障が出ているとの事でした。

初診時は測定不能だった右目が、3カ月くらい経ったあたりで視力が出るようになりました。
4ヶ月後には車の運転も再開出来たとのお話でした。

視野は当初左下の部分がグレーで見えない状態でしたが、徐々に見える箇所が広がっていきました。
11カ月後には中心のみになり、下もうっすら見える所まで回復しました。

症例2です。
この患者さんは発症から当院の受診はとても早く、11月28日に発症して12月6日に初診でした。

左目の視力は当初測定不能だったのが、少しづつ回復していき7カ月目には0.3まで出るようになりました。
本人に聞くと、鍼をする事でグレーで見えない所が少しづつ薄くなっていく感じだそうです。

視野の変化です。
全体にグレー・中心が白で見えなかった視野が徐々に回復していき、7カ月後には範囲がかなり狭くなってきました。
今後を施術を続けて変化を見ていく予定です。

考察・課題です。
網膜動脈閉塞症に対して鍼治療が視力・視野に変化を起こす可能性があると言えます。
症例1では発症から3カ月で変化が出ていますが、基本的には発症してすぐ施術を行なうのがベストです。
時間が経つほど血流が閉塞している細胞が壊死してしまし、壊死した細胞は回復が難しいからです。
当院でも基本的には発症から1カ月以内での鍼施術の開始を推奨しています。

今回の発表で多くの方に鍼による網膜静脈閉塞の効果を知ってもらえたら嬉しいです。
眼科によっては血栓融解薬が処方された後は治療手段が無いと言われて途方に暮れて当院にいらっしゃる患者さんも多いです。
ただ全ての方に効果があるわけではなく、変化が出なかった症例も過去にあります。
最初に3カ月施術を行ない、変化が出る方はその間に見え方や視力が変わっていきますので、お悩みの方はお気軽にご相談下さい。

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