中心性網膜症(中心性漿液性脈絡網膜症)

 

中心性網膜症(中心性漿液性脈絡網膜症)

網膜は網膜色素上皮によって血管の層である脈絡膜から隔離されています。
これは網膜色素上皮細胞同士がすきまなく結合されており、物質を通さないからです。
このバリア機構がこわれて脈絡膜にある液体成分が網膜と網膜色素上皮の間(網膜下という)に漏れ出すのが、中心性漿液性脈絡膜網膜症です。
網膜は水ぶくれのように浮き上がり、液が溜まった部分は網膜の機能が低下します。
中年の男性に多く、身体的、精神的ストレスが誘因となるともいわれています。また、副腎皮質ステロイド剤投与患者にも時にみられます。
劇症型は多発性後極部網膜色素上皮賞(MPPE)と呼ばれ、下方網膜の胞状剥離となることもありますが、蛍光眼底造影にて、中心性漿液性脈絡膜網膜症と同様の漏出を一か所あるいは数か所に認めます。

症状

症状は中心部が暗い、色が少し違って見える(中心暗点)、まっすぐの物がゆがんで見える(変視症)、物が小さく見える(小視症)などです。
視力は一般的に良好ですが、再発を繰り返したり、遷延化すると徐々に低下します。

正常な見え方

中心性網膜症の見え方(小視症)

西洋医学での治療方法

多くの場合は3~6か月で自然治癒する事が多い事から、循環改善薬やビタミン座位等の服用で経過観察となるケースが多いようです。
数か月以上自然治癒しない場合や再発例などは漏出点をレーザー光凝固します。
漏出は止まりますが、貯留した液体は吸収されるまで残るので、症状は1~2か月かけて回復します。
レーザー以外では抗VEGF硝子体内注射(アバスチンなど)が行われます。
MPPEの場合は漏出点が多数であり、漏出も旺盛であることが多いので直ちに漏出点すべてのレーザー光凝固を行います。
この場合も網膜下駅の吸収はゆっくりで、多くの場合、下方の網膜剥離の消失には数か月を要します。

変視について

M-CHARTS当院では変視の範囲と強さについては、アイチェックチャートとM-CHARTSを用いて測定を行い、現在の状態や効果判定を行います。
変視の範囲が狭く、歪み弱いほど改善しやすいです。

・当院での視力測定・評価法の詳細はこちら

当院での治療

視力について視力測定で矯正視力が0.5前後であれば、数回の治療で比較的容易に改善する事も多いです。
また歪み(変視)は視力の回復よりは時間がかかりますが、少しずつ改善していきます。
他に病気がある場合や生活に問題がある場合などは回復が遅れる事があります。
自然治癒による回復が遅れている場合や眼科での治療で改善が見られない場合でも鍼灸治療で大きく改善した例もありますので、一度ご相談下さい。

当院での症例

症例1 50代 男性 中心性網膜症(中心性漿液性脈絡網膜症)

症状

1か月程前に発症。
眼科を受診するが経過観察となる。
何か出来ることは無いかとインターネットから当院を検索し、当院を受診。
視力は両眼1.5。
変視(ゆがみ)は右目の中心部分に歪み。
歪みの強さはM-CHARTSで1.0°。

治療経過

【治療1か月目】
歪みは徐々に減ってる感じがするとの事。
飲酒も悪化要因の1つのため、休肝日を作ったり飲む量も数も減らてもらう。
【治療3か月目】
歪みは無くなる。
M-CHARTS、アイチェックチャートでも歪みは測定されず。
眼科でもゆがみは無くなり、経過観察にとなる。
【変視の範囲】
初診時:左  治療3か月目:右

初診時3ヶ月目

院長からひとこと

中年男性に多い中心性網膜症ですが、この症例では歪みが比較的少なかった事、視力が維持されていた事もあり、歪みは完全に取れました。
また中心性網膜症は、飲酒が悪化要因になっている事も多いため、飲酒量を減らせた事も治療がスムーズに進んだ要因の一つだと思います。
自然治癒する事も多い網膜症ですが、慢性化して黄斑変性が併発してしまう例などもあるため、症状がなかなか改善しない場合には鍼灸での治療を試してみる価値はあります。

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