視神経は目(カメラ)に映った情報を脳(現像所)に運んでいくという重要な役割を果たしています。
太さは直径3mm程度で視神経鞘というサヤの中を通っています。
網膜の内層にある網膜神経節細胞からは1個の細胞につき1本の神経線維(軸索)が伸びていて、それが約100万本集まって視神経を構成しています。
視神経に障害が起きると運べる情報量が少なくなり、視力・視野などに重大な影響が出ます。
視神経障害を起こした原因によって大きく視神経炎と視神経症に分類されます。
炎症が原因で視神経に障害が起これば視神経炎であり、それ以外の原因で生じれば視神経症と呼ばれることになります。
では視神経症には炎症による変化は全くないのでしょうか?
もちろんそんなことはありません。
視神経症でも炎症による変化は生じます。
あくまでも障害の主な原因が炎症かどうかという問題だけです。
ただ、副鼻腔疾患による鼻性視神経障害の場合、副鼻腔の炎症が波及した視神経炎の病態と、副鼻腔腫瘍の増大に伴う圧迫性視神経症の病態を併せ持つケースも多く、一概には分類できないこともあります。
感染による視神経炎もありますが、日本では原因不明である特発性視神経炎が最も多いとされています。
しかし、近年のMRIなどの画像技術の向上で頭蓋内病変の描出が精細にできるようになってきました。
したがって特発性と診断される症例が減少し、脱髄性疾患など中枢神経系疾患の一部として視神経炎が診断されるケースが増えてくると思われます。
原因・程度などによって、視力低下がほとんどない場合から光覚がなくなるまで様々です。
視力低下と同時にまぶしさあるいは暗黒感を訴えたり、目を動かしたときに眼痛を訴えたりすることもあります。
障害された視神経の部位に一致して視野欠損あるいは感度低下が生じます。
代表的なパターンとしては中心暗点、水平半盲などです。
また、視神経乳頭の浮腫がある場合は、Mariotte盲点の拡大を認めることがあります。
特発性視神経炎は自然回復傾向のある疾患ですが、障害の程度が強い場合はステロイドパスル療法(ステロイドの大量点滴療法)を選択することがあります。
感染性は感染治療が必須です。
視神経炎は自然に回復する症例も多いため数ヶ月は様子を見ていただき、眼科で回復が遅い場合には、適切な鍼治療も検討をお勧めします。鍼治療を行う事で血流を改善し回復力を早めます。
また、ステロイド減量の際の悪化を防ぐことができます。
鍼治療を継続する事で再発例を減らし、長期に渡って目を健全な状態を維持する事が可能です。
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