視覚障害者の「目」になるアプリ「Seeing AI」

院長の伊藤です。

視覚障害者の「目」になるアプリ「Seeing AI」をご存じですか?
今回、このアプリの日本語版がリリースされたので、アプリの紹介と実際に使ってみた感想を書きたいと思います。

Seeing AIとは

「Seeing AI」は視覚障害者の「目」の変わりになるアプリです。
ドキュメントを読み上げる、色を読み上げる、カメラで見た景色を言葉で伝える、
お金を認識して読み上げるなどアプリの名前にもある”AI”がカメラから入力された画像を分析して、
利用者に”声”で情報を教えてくれるアプリです。
このアプリはMicrosoftが開発しており、障害者をAIで支援する5年プロジェクト「AI for Accessibility」では2500万ドルの予算を投じるそうです。
凄い規模ですね。

Seeing AI(日本語版)の公式ページ

seeing aiの機能

短いテキスト

テキストがカメラの前に表示されると瞬時に読み上げます。
カメラで画像を保存する事無く読み上げてくれるので目の前の文字を確認する時などに使用します。

ドキュメント

プリントなどの印刷を読み上げます。写真を撮る際は音声ガイダンスで案内をしてくれ、文章を上から読み上げてくれます。

製品

製品のバーコードを読み取って何の製品か音声で知らせてくれます。
2020年2月時点では日本の商品には対応していないみたいです。

人物

事前に登録した人物を認識して、音声で目の前の人が誰か教えてくれます。
年齢や表情も伝えてくれます。

通貨

紙幣の識別を行い、音声で知らせます。
表裏はもちろん、逆さでも認識可能です。
紙幣の一部を隠してしまうと認識出来ませんでした。

シーン

AIが周りの状況を音声で説明してくれます。
こちらが驚く程正確に伝えてくれる時と、全然とんちんかんな説明の時がありますが、
今後AIが学習していくことでどんどん正確に伝えてくれるようになると思います。

カメラが捉えた色を識別します。
視覚障害者や弱視の方は色が見えないまたは判別が難しいので、
色が音声で分かるのは有難いです。
視覚障害者が服を選ぶ時は手で触って形は分かるのですが、色は分からないので日常で必要な機能です。

ライト

周囲の明るさに応じてトーン音を出します。
全盲で光を感じない方だと、部屋の電気がついているか分からないので、
アプリの音で現在の部屋の明るさが判断出来ます。

まとめ

Seeing AIには複数の機能がありますが、これまでは1つの機能に1つのアプリを使って利用されていました。
そういったアプリの機能を1つに集約させてあるので1つのアプリで済むのがとても良いです。
また、AIで目の前の風景を音声で読み上げる「シーン」機能は精度が上がると目の代わりになる便利な機能だと感じました。
以前ブログでオーカムマイアイ2の紹介をしたのですが、今回のSeeing AIのいくつかの機能を備えています。
オーカムマイアイ2は眼鏡に装着出来き、自分の目線で捉えたものを認識・読み上げてくれるので使いやすいのですが、
値段が498,000円と高額です。
今回のSeeing AIは無料で提供されているので、iPhoneまたはiPadがあれば簡単に使えます。
すこし前では考えられない便利なデバイス・アプリがどんどん出ており、視覚障害者には嬉しい話ですね。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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